ビザンチン幾何学パターンの基本構造を理解する
著者: 篠原 誠一 — Founder、
星形・八角形・格子が生まれる数学的な仕組み
ビザンチン建築のモザイクが持つ複雑な幾何学パターンは、実は少数の基本図形の組み合わせから成り立っています。正方形、正三角形、正六角形。これらを規則的に並べることで、星形や八角形が自然に現れます。その仕組みを理解すると、複雑に見えるパターンが急に身近になります。
正方形の分割から始まる
最も基本的なビザンチンパターンは、正方形を対角線で分割することから始まります。一辺を4等分し、その交点を結ぶと、中央に小さな正方形が現れます。この操作を繰り返すことで、入れ子状の正方形のパターンが生まれます。
この基本操作を理解すると、複雑に見えるパターンも「正方形の分割の組み合わせ」として読み解けるようになります。設計図を描くときは、まず大きなグリッドを引き、そこに基本図形を配置していく順序で進めると整理しやすいです。
八角形と星形の関係
正方形を45度回転させて重ねると、八角形が現れます。この八角形の周囲に正方形を配置すると、隙間に小さな正方形が生まれ、これが「八角形と正方形の格子」と呼ばれる基本パターンになります。
さらに、八角形の各辺の中点を結ぶと、八芒星が現れます。この星形は、イスラム建築とビザンチン建築の両方に頻繁に登場するパターンです。見た目は複雑ですが、正方形と八角形の関係を理解していれば、設計図上で再現することは難しくありません。
手描き設計図の描き方
コンピューターのソフトウェアを使えば正確なパターンを素早く描けますが、Falcon Mosaicでは最初の設計図を手描きで作ることにしています。方眼紙にコンパスと定規を使って基本図形を描くことで、パターンの構造を体で理解できるからです。
手描きの設計図は、後で素材の割り付けを考えるときにも役立ちます。どのピースをどの方向に割り出すか、目地の幅をどこで調整するか。これらの判断は、パターンの構造を理解していないと難しい作業です。
実際の制作への応用
設計図が完成したら、実際の素材に合わせてスケールを調整します。ガラスタイルの標準サイズ(2cm角)を基準に、パターンの最小単位を決めると、割り出しの計画が立てやすくなります。
初めてビザンチンパターンに挑戦する場合は、正方形の格子から始めることをお勧めします。シンプルに見えますが、目地の幅を均一に保つことが意外と難しく、基礎的な技術を確認するのに適しています。
ビザンチン幾何学の面白さは、単純なルールから複雑な美しさが生まれる点にあります。Falcon Mosaicのワークショップでは、この設計の手順を実際に体験していただけます。